説明
王 敏(著)
四六判 352ページ
価格2,200円+税
ISBN978-4-86251-373-1
周恩来が1919年、日本留学を終え、帰国する前に京都の嵐山を雨の中、探訪した。これは二度目の嵐山探訪であった。二回も嵐山を訪ねた理由を探るため、筆者は嵐山の人文的地理的背景を考察して、日中文化の交じり合う点と線を見つけた。それは日本の禹王・治水の角倉了以と日本の黄檗禅宗開祖の隠元、その普及につくした高泉が絡み合っている。嵐山の何が周恩来を引っ張ったのか。日中文化の交差の中で、嵐山の周恩来を考察していく。
目次
あらまし
第一章 「雨中嵐山」の点と線
一、さらば日本
二、嵐山の人文地理紹介
三、日本の禹王・角倉了以
四、大悲閣千光寺と隠元の日本人生
五、「雨中嵐山」の詩に隠れる行程
六、高泉性潡の詩碑との邂逅
第二章 雨中嵐山行きの背景
一、治水の家の歴史
二、祖先祭祀習俗
三、入魂する禹王の精神
四、念入りの中日間の共有
五、あふれた気遣い
六、中学時代の日本観
第三章 「疎通」が対日の人民外交をもたらす
一、対日民間外交のヒント
二、対日民間外交の実践
三、対日民間外交の定義(資料編)
四、人民外交の思想及びその研究(資料編)
五、桜に思いを
第四章 周恩来と法政大学
一、中村哲総長の見解
二、柘植秀臣元法政大学社会学部教授の観点
三、元法政大学校長大内兵衛教授が誇りに思う経歴
四、周総理の附属高等予備校留学を記念した法政大学教職員の文章総括
五、法政大学現存資料中の附属東京高等予備校(1910~1924年)についての記載
六、周恩来の留日日記についての考察
七、范源廉と法政大学
八、周恩来留日の特色
九、周恩来留日研究と関連する課題
第五章 中国人の日本留学の背景
一、法政大学清国留学生法政速成科設立の背景
二、法政速成科の特徴
三、法政速成科の教育内容と辛亥革命の相関関係
四、〝留学生取締規則〟事件と法政速成科の中止
五、おわりに
第六章 日本における禹王信仰の現存形態に関する考察
一、はじめに
二、大川三島神社の天井漢詩(静岡県東伊豆町の大川温泉地区)に関する調査
三、京都御所「大禹戒酒防微図(だいうかいしゅぼうびず)」の日本伝来の脈略を探る
四、時代精神と禹王信仰の現代的価値
五、禹王信仰研究の課題
後書き