説明
Bob Plant(著), 米澤 克夫(訳 | 訳), 寺中 平治(訳), 菅崎 香乃(訳), 河上 正秀(訳), 出雲 春明(訳), 馬場 智理(訳)
A5判 454頁 並製
価格 6,000円+税
ISBN 978-4-86251-211-6 C3010
ウィトゲンシュタインとレヴィナスは、20世紀の最も影響力を持った挑発的な思想家の二人である。それにもかかわらず、彼らの著作は対立する哲学的陣営から生まれたものとみなされている。その結果として、二人の哲学者の比較研究はほとんど行われてこなかった。本書は、これまで無視されてきたこれらの哲学者の間の類似性と緊張と、彼らを代表者とするしばしば敵対する知的な伝統を解明している。 読者の方が一方を介して他方を深く理解できるようにと、倫理性についての二人の競合する哲学的な説明が並置された。二人の思想体系が、倫理学の議論における中心的な概念である信仰、罪悪感(責め)、傷つきやすさの領域において、相互に関連していることが明らかにされる。そしてその企てにおいて、驚くべき広範囲の共通性が見出されることが強調される。本書の中核部分は、宗教的信念と苦しむことについてのウィトゲンシュタインの成熟した思索と、倫理的責任についてのレヴィナスの特異的な説明の両者における多くの倫理的・宗教的テーマについての複雑ではあるが啓発的な相互交差に関するものである。
目次
はじめに 1
謝 辞 4
序 論 7
第1章 平穏の思想:ピュロン主義とウィトゲンシュタインにおける治療としての哲学 27
第2章 世界像を信頼すること:『確実性の問題』以後の知識、信仰、倫理 79
第3章 多元主義、正義、傷つきやすさ:ウィトゲンシュタインの政治化 137
第4章 幕 間:争いよりも平和を好む 189
第5章 報いなき悲惨さ:宗教、倫理、罪悪感(責め)についてのウィトゲンシュタインの見解 197
第6章 侵犯すること:ハイデッガーとレヴィナスにおける責めと犠牲、および日常的生 237
第7章 倫理学の非合理性:レヴィナスと責任の限界 289
第8章 汚 染:レヴィナス、ウィトゲンシュタイン、デリダ 349
全体の要約 391
監訳者あとがき 393
参考文献
人名・事項索引